コラム 2025年9月13日
前十字靱帯(ACL)損傷とリハビリ
金孝燮
代表院長
前十字靱帯とは
前十字靱帯(ACL)は膝関節内で大腿骨と脛骨をつなぎ、脛骨が前方に押し出されるのを防ぎ、回旋安定性を担っています。サッカー、バスケットボール、スキーなどでの急な方向転換や着地の際に過度な外反+回旋力が加わると断裂します。受傷の瞬間に「ポキッ」という断裂音を感じ、数時間以内に関節が大きく腫れるのが特徴です。
診断 — ラックマンテストとMRI
ラックマンテスト(Lachman test)は膝を20~30度屈曲した状態で脛骨を前方に引いた時、エンドポイント(end point)が軟らかければ陽性です。前方引き出しテスト(anterior drawer)とピボットシフトテストを併せて行い、MRIで完全断裂・部分断裂を区別します。ACL損傷時には内側半月板や内側側副靱帯の合併損傷(不幸の三徴候)も必ず評価します。
膝の不安定性(giving way)の危険
ACLが断裂したまま日常生活を続けると、急に膝が崩れるgiving way現象が繰り返されます。そのたびに半月板と関節軟骨に二次損傷が蓄積し、早期の変形性関節症へ進行する可能性があるため、活動的な患者には再建手術が推奨されます。
術後の韓方リハビリプロトコル
- 1~2週(急性期):手術部位の腫脹管理が最優先です。鍼(血海・陽陵泉)と韓方薬(当帰鬚散)で瘀血を除去し腫脹を速やかに解消します。
- 3~6週(保護期):ROM(可動域)回復のために推拿で膝蓋骨の滑走(gliding)を誘導し、大腿四頭筋セッティング運動を開始します。
- 7~12週(強化期):薬鍼で移植腱周囲の癒着を予防し、四頭筋・ハムストリング筋力比を正常(60%以上)に回復させます。
- 4~6か月(復帰準備期):補強の韓方薬(鹿茸・牛膝)で移植腱の成熟を助け、スポーツ特異的動作(cutting、pivoting)を段階的に訓練します。
リハビリの核心原則
手術成功の50%はリハビリにかかっています。早すぎる復帰は再断裂のリスクを、過度の安静は関節癒着と筋萎縮を招きます。韓医学的治療と運動リハビリを併用すれば、痛みのコントロールと組織回復が同時に進み、復帰時期を早めることができます。