コラム 2025年7月28日
梨状筋症候群 — お尻の奥が痛むとき
金孝燮
代表院長
お尻の奥から始まる痛み
梨状筋症候群(piriformis syndrome)は、骨盤深部に位置する梨状筋(piriformis muscle)が硬くなったり肥大したりして、すぐ下またはその間を通る坐骨神経(sciatic nerve)を圧迫し、お尻から太もも裏に放散する痛みを引き起こす状態です。
坐骨神経痛との鑑別
梨状筋症候群の症状は腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛と非常によく似ています。お尻から太もも裏、時にはふくらはぎまで広がる痛みが現れます。しかし、原因が腰(脊椎)ではなく骨盤(梨状筋)にある点が異なります。
- 腰椎ヘルニア由来の坐骨神経痛:腰を曲げると悪化、MRIで椎間板突出を確認
- 梨状筋症候群:長時間座っていると悪化、腰部MRIは正常、FAIR検査陽性
- FAIR検査:股関節を屈曲・内転・内旋させて梨状筋を伸張すると症状が再現
- 座位の不快感:硬い椅子に長く座ると梨状筋が圧迫され痛みが悪化
韓方治療:梨状筋の弛緩が要
硬くなった梨状筋を緩めて坐骨神経への圧迫を解除することが治療目標です。
- 鍼治療:環跳穴(GB30)など梨状筋の深部に到達する深刺法で筋硬結を解消
- 推拿(チュナ):梨状筋に対する筋エネルギー法(MET)とストレイン・カウンターストレインで弛緩
- 薬鍼:梨状筋内のトリガーポイントに消炎薬液を注入し筋硬直の緩和と抗炎症を同時に
- 灸:温熱刺激で深部筋の血流を増加させ代謝産物の排出を促進
梨状筋ストレッチの重要性
院内治療と並行して家庭での梨状筋ストレッチも必ず行います。仰向けで痛い側の足首を反対の膝に乗せ、反対側の太ももを胸に引き寄せるとお尻の奥にストレッチが感じられます。1日3回、各30秒間保持すれば梨状筋の緊張を効果的に和らげられます。
長時間の座位生活が原因です
梨状筋症候群は長時間座る生活パターンと直結します。50分座ったら10分立って動く習慣を持つだけでも再発を大きく減らせます。