コラム 2026年2月22日
火病(ファビョン)、我慢しても良くなりません
金孝燮
代表院長
火病とは何か
火病(ファビョン、火病)は韓国文化圏に特に多く見られる精神身体疾患で、米国精神医学会(APA)でも文化関連症候群(Culture-bound Syndrome)として認められた疾患です。怒り、悔しさ、ストレスを長期間抑え込むことで生じる内的な熱感と多様な身体症状が特徴です。
火病の代表的な症状
- 胸が詰まり、何かが込み上げてくる感じ
- 顔がほてり、熱が上がったり下がったりする
- 喉に何かが引っかかったような異物感(梅核気)
- 不眠、頭痛、消化不良を伴う
- ため息が多く、泣きたい感情が繰り返される
- 苛立ちと抑うつ気分が交互に現れる
韓方治療のアプローチ
火病は単に「気持ちを楽に持てば治る」疾患ではありません。長く蓄積された鬱火(うっか)が肝(かん)の働きを乱し、心臓と脾胃にまで影響を及ぼして複合的な症状を作り出します。韓方治療はこの鬱火を解きほぐすことから始まります。
- 疏肝解鬱(そかんかいうつ)処方:肝の鬱滞を解いて気の流れを円滑にします。柴胡、香附子、枳実などが用いられます。
- 鍼治療:内関、神門、太衝など情緒安定に関わる経穴を刺激します。
- 薬鍼治療:経絡に沿って薬液を注入し、速やかな鎮静効果を得ます。
感情をコントロールすることが治療です
火病は性格の問題ではなく身体疾患です。「我慢すればよい」という考えはむしろ症状を悪化させます。胸の詰まりや悔しい感情が繰り返されるなら、専門的な治療を通じて鬱火を解消し、心身のバランスを取り戻してください。