コラム 2025年4月13日
歯ぎしり(ブラキシズム)と顎筋肉の疲労
金孝燮
代表院長
歯ぎしり(bruxism)の定義
歯ぎしり(bruxism)は睡眠中または覚醒時に歯を強く噛み締めたり左右にすり合わせたりする反復的な口腔悪習慣です。睡眠時歯ぎしり(sleep bruxism)がより一般的で、本人が自覚せず同居人が音を聞いて気づくことが多くあります。歯ぎしり時の咬合力は通常の咀嚼の6〜10倍に達し、歯・顎関節・咀嚼筋すべてに過負荷がかかります。
咬筋・側頭筋の過緊張
歯ぎしりが繰り返されると咬筋(masseter)と側頭筋(temporalis)が肥大し、慢性的に硬直します。朝起きたときに顎がこわばり疲労感を感じ、両頬部位(咬筋)を押すと強い圧痛があります。側頭筋の過緊張はこめかみ部位の頭痛につながり、緊張型頭痛と混同されることもあります。
顎関節への影響
持続的な過負荷が関節円板を後方から前方へ押し出して円板前方変位を引き起こし、関節面軟骨の変性を促進します。歯では咬合面摩耗(attrition)、歯頸部破折(abfraction)、エナメル質のひび割れが現れます。
韓方治療
- 鍼治療:下関・頬車・頭維に刺鍼して咬筋と側頭筋を弛緩させます。電気鍼(4Hz連続波)で筋線維の過活動を抑制します。
- 薬鍼:肥大した咬筋筋腹に消炎薬鍼を注入すると筋緊張が速やかに解けます。
- 韓方薬:抑肝散加減で肝風を鎮め、酸棗仁湯で睡眠の質を改善します。ストレスが強い患者には加味逍遥散を併用します。
口腔内装置(スプリント)とストレス管理
夜間に咬合安定装置(stabilization splint)を装着すると歯の摩耗を防ぎ、顎関節の負荷を20〜30%軽減できます。歯科と連携して装置を製作します。歯ぎしりは心理的ストレスと密接なため、就寝前のリラックス呼吸法(4-7-8呼吸)や温かいお湯で顎周りをマッサージする習慣が役立ちます。カフェインとアルコールは睡眠時歯ぎしりを悪化させるため、夕方以降の摂取を控えます。